展示会は、空間・来場者動線・ブランド体験が一点に集まる「総合芸術」のようなものです。
商品やサービスの魅力を伝えることはもちろんですが、空気感や演出、会話のテンポ、そして会場そのものの質が結果を大きく左右します。
しかし、東京で展示会を企画する多くの企業が、準備段階では想像していなかった“落とし穴”に直面します。
マーケティングとしての展示会が一般化した今だからこそ、競合が増え、来場者の目もさらに厳しくなり、少しのミスが成果を下げるケースも珍しくありません。
本記事では、数多くの展示会が開催されてきた表参道の会場「House of OMOTESANDO」の知見も踏まえながら、他社があまり触れていない“リアルな失敗例”と“その回避策”をまとめました。
静かで上質なトーンで、しかし実用性の高い内容に仕上げています。東京で展示会を行うすべての人にとって、確かな指針となれば幸いです。
展示会で起こりがちな失敗は「準備段階」に潜んでいる
展示会の成功を左右する要素の多くは、実は「当日」ではなく「準備段階」にあります。
よくある失敗のほとんどは、事前の想定不足、会場理解の浅さ、そして“やりたいこと先行”で企画が進んでしまうことが原因です。
逆にいえば、事前の準備を丁寧に重ねるほど、展示会の成功率は自然と高まります。
ここからは、実際に現場でよく起きる失敗と、具体的な回避策をご紹介します。
失敗あるある①:世界観を作り込んだが「会場と合っていない」
展示会の世界観を丁寧につくることは重要ですが、会場の質感・素材・天井高・光の入り方と齟齬があると、一気に“違和感”が生まれてしまいます。とくに東京では洗練された来場者が多く、空間の完成度に敏感です。
よくあるのが、豪華な装飾を持ち込みすぎて空間が重たくなるケース。
逆に、ポップな世界観をつくりたいのに会場が高級感のある落ち着いた空間で、ブランドの方向性が分かりづらくなるケースもあります。
回避策
- 会場そのものの「素材感」を活かす
- 持ち込み装飾は“引き算”で考える
- 初期段階で会場写真・図面を見ながらデザインを作る
House of OMOTESANDO のように「空間そのものが完成された会場」は、あえて装飾を抑え、“余白”を活かす方が来場者の評価が高い傾向があります。
失敗あるある②:動線が悪く、来場者が滞留してしまう
展示会の評価を大きく左右するのが「動線設計」です。実は、展示会のクレームで一番多いのが、レイアウトによるストレス。入口付近が狭い、会場内で人が詰まる、出口が分かりづらい……こうした小さなストレスが積み重なると、展示体験全体の印象が悪くなります。
特に東京の展示会は来場者数が多く、動線設計が不十分だと混雑が発生しやすくなります。
回避策
- 入口・出口を明確に分ける
- 中央に“滞留ポイント”を作らない
- 試飲・試食・体験コーナーは壁際に配置する
動線の悪さは「離脱率の増加」に直結します。スムーズに回遊できるレイアウトにすることで、来場者の滞在時間と体験の質が大きく向上します。
失敗あるある③:ブランドメッセージが散らばる
展示会は“世界観を伝える場”であると同時に“メッセージを絞る場”でもあります。
よくあるのが、①商品の世界観、②商品ラインアップ、③ブランドの歴史、④キャンペーン告知、⑤採用情報……と情報を詰め込みすぎて、結局何を伝えたい展示会なのか分からなくなるケースです。
情報量が多いほど良いと考える人は多いですが、展示会は「情報の多さ」より「体験の深さ」が大切です。
特に表参道のような洗練された場所を選ぶブランドにとって、メッセージの絞り込みは非常に重要です。
回避策
- 展示会の目的を「1つだけ」明確にする
- 来場者に“何を持ち帰ってほしいか”を決める
- その他の情報はパンフレット・QRに集約する
ブランドの世界観が散らばると、来場者の理解度が下がり、展示会の価値が薄くなります。メッセージは“少ないほど強い”という視点を持つことが鍵となります。
失敗あるある④:照明がブランドに合っていない
意外に見落とされがちですが、展示会の成功を大きく左右するのが「照明」です。
照明は空間の印象を決定づける最も重要な要素の1つですが、展示物に対して光が強すぎたり、会場全体が暗すぎたり、影の方向がバラバラになったりすると、世界観の統一感が崩れてしまいます。
特に、商品が小物・アパレル・ジュエリー・コスメなど“光を受けることで価値が高まるもの”の場合、照明の質は展示会の評価に直結します。
回避策
- 展示物に合った色温度を選ぶ
- バックライト・スポットライトをバランスよく配置する
- 会場スタッフに照明の“現場調整時間”を必ず確保する
照明を制した展示会は、来場者の記憶に残ります。東京の展示会はとくに目が肥えた来場者が多いため、照明の完成度が評価にダイレクトに影響します。
失敗あるある⑤:当日の“予期せぬトラブル”を軽視している
展示会の現場では、想定していなかったトラブルが必ずと言っていいほど起こります。
「そんなことまで起きるの?」と思うような、細かいミスほど展示会の印象を落としてしまうもの。来場者は“完成された状態”しか見ません。裏側が混乱していても関係ないのです。
よくある予期せぬトラブルの例は下記の通りです。
- 電源位置と実際の配線が合わず、延長ケーブルが足りない
- 想定よりも搬入物が多く、荷物を置く場所がない
- 音響チェックを忘れていて、当日になってノイズが出る
- 動画データが重すぎてスムーズに再生されない
- 受付に必要な備品をすべて用意したのに「ペン」だけ忘れる
- スタッフ間の連絡手段が統一されていない
- 空調が予想より強く、展示物が揺れたり動いてしまう
これらは実際の展示会で“頻繁に”起こるものばかりですが、事前に対策しておけばほぼ回避できます。
回避策
- 搬入前日に「配線・電源の想定図」を作成する
- スタッフで“持ち物リストの共有”を行う
- 映像・音響は必ずテスト時間を確保する
- トラブル担当の“指揮者”を1人決めておく
展示会は「準備8割」の世界です。特に東京の展示会は来場者の期待値が高いため、準備の完成度がそのままブランド評価につながります。
下記にチェックリストの記事も作成してますので参考にして下さい。
展示会の持ち物チェックリスト完全版|忘れ物ゼロで成功する準備ガイド
失敗あるある⑥:SNS映えを狙いすぎて“展示会の目的”を見失う
最近の展示会で増えているのが、いわゆる「SNS映え」だけを重視するケースです。
もちろん、SNSでの拡散は展示会において非常に重要な要素ですが、そこに力を入れすぎると、本来伝えるべきストーリーや商品の訴求が弱くなり、結果として“何の展示会だったのか”が分かりづらくなることがあります。
特に若いマーケティング担当者が多い企業で起こりがちな失敗で、写真映えする装飾にコストを使いすぎてしまい、肝心な体験設計が薄くなってしまうのです。
回避策
- 「SNS=目的」ではなく「SNS=手段」に位置づける
- “映える空間”より“伝わる空間”を優先する
- 写真ポイントは1〜2カ所に絞る
特にHouse of OMOTESANDOのような美しい空間は、何もしなくても“写真映え”します。そのため過度な装飾をしないほうが、ブランドらしさが引き立つことも珍しくありません。
まずは、目的をしっかりと考えて、展示会は開催することが大切です。下記に目的を定めて会場も選ぶことの記事を書いてますので参考にして下さい。
【展示会場の選び方】開催目的をはっきりさせ慎重に会場を選ぼう
失敗あるある⑦:世界観を広げすぎて「会場と合わない」
これは意外に多い失敗です。世界観をしっかり作り込むこと自体はとても大切ですが、会場の空間クオリティと齟齬があると、一気に安っぽく見えてしまいます。
よくある例としては、世界観を表現するために“大量の装飾”や“大胆な色使い”を投入してしまい、結果として会場の持つ上質さと噛み合わなくなるケースです。
たとえば、表参道のような洗練された街の会場は、基本的にシンプルかつ上質な空間で構成されています。そこにゴチャついた装飾を加えると、ブランドの価値が下がってしまうことがあります。
回避策
- 会場そのものの魅力を“最大限に活かす”方向で考える
- 装飾は足し算より“引き算”を意識する
- 世界観をつくる際は、常に会場写真を横に置いてデザインする
会場と世界観が一体化した展示会は、来場者の没入感が高く、結果として高評価につながります。
失敗あるある⑧:搬入・搬出を甘く見てスケジュールが崩れる
展示会準備で最も多いトラブルの1つが「搬入・搬出」です。特に東京は道路も混雑しやすく、荷物が時間通りに到着しないことも珍しくありません。
さらに、搬入口が小さい、エレベーターが1基しかない、当日他の企業と搬入時間が重なるなど、予想外の要素が重なると一気に混乱します。
結果として、会場設営に使える時間が圧迫され、世界観の仕上がりに影響する……ということも。特に初めて会場を使う企業は、搬入動線の確認を怠りがちです。
回避策
- 事前に搬入ルートを確認して“作業の手順書”を作る
- 大型什器はサイズを測り、搬入口に入るか確認する
- トラックの到着時間を分散させる
- 搬入時のスタッフ人数を明確にする
搬入・搬出は「展示会の裏側」ですが、その完成度が展示会そのもののクオリティに直結します。
失敗あるある⑨:人員配置が不十分で来場者対応が雑になる
展示会では、来場者とのコミュニケーションが最も重要なポイントの1つです。しかし、人員配置が不足していると、案内が雑になったり、説明の質が落ちたり、待ち時間が長くなったりして、ブランドの印象が大きく損なわれます。
特に、受付・体験ブース・商品説明・誘導などが同時に必要な展示会では、最低限必要な人数を見誤ると混乱を招きます。
回避策
- 役割を細かく分け、事前に“担当表”を作成する
- 想定来場者数から必要人数を逆算する
- 当日スタッフの休憩時間も事前に決めておく
来場者対応の質は、展示会の印象を左右する「最前線」です。どれだけ空間が美しくても、対応が雑だと来場者の満足度は一気に落ちてしまいます。
失敗あるある⑩:ブランド体験の“深さ”をつくり込めていない
展示会は「見せる場所」ではなく「感じてもらう場所」です。 しかし多くの企業が、商品の並べ方や装飾に力を入れる一方で、 “ブランド体験の深さ”を十分に設計できていません。
よくあるのは、
- 商品説明のストーリーが弱い
- 体験コンテンツが浅く、記憶に残らない
- 写真スポットはあるが「なぜその世界観なのか」が不明
- ブランドの価値を伝える導線がない
これでは、来場者は「綺麗だったけど、何の展示だったっけ?」という状態になり、 体験がブランドの価値に結びつきません。
回避策
- ブランドの“核心メッセージ”を冒頭で伝える
- 来場者導線に沿ってストーリーが深まる設計をする
- 写真映えスポットにも“意味”を持たせる
- 世界観と体験内容を一本の線でつなげる
特に表参道という場所は「ブランドの価値を深く伝える」ことと相性が良いため、 空間デザインよりも“体験の質”が重要です。
失敗あるある⑪:来場者データの回収が弱く、展示会後につながらない
多くの企業が見落としがちなのが「データ回収」。 せっかく多くの来場者が訪れても、
- 名刺交換がスムーズにできない
- アンケートの回収率が低い
- QR誘導をしてもクリックされない
- SNSフォロー導線が弱い
こうなると、展示会後の商談や購買につながりません。
展示会における最大の損失は、目の前に来た見込み客を取りこぼすことです。
回避策
- 受付導線に“名刺獲得ポイント”を必ず組み込む
- QRコードは“視界の中心”に置く(壁ではなくテーブル上)
- アンケートは1分以内で終わるなど負担を減らす
- スタッフが「声がけして回収する」仕組みにする
展示会の成果は「当日の熱量 × 展示会後の追客」です。
この2つをセットで考えることで、展示会は初めて価値を最大化します。
失敗あるある⑫:写真・動画の撮影クオリティが低い
展示会はその日で終わるイベントですが、 記録として残る写真・動画は“未来の営業資産”です。
しかし、実際の現場では
- スタッフのスマホだけで撮影
- ピントが甘い・暗い・広角すぎ
- 世界観が伝わらない写真しか撮れていない
- 動画を撮り忘れる
こうしたケースが非常に多く、せっかくの展示会の価値を十分に記録できていません。
回避策
- プロカメラマンの手配を“最優先”にスケジュールする
- 撮るべきカットを事前にリスト化して共有する
- 開場前・開場後・混雑時・商品アップなど多角的に撮影する
特に表参道エリアでは「展示会実績写真」が次の案件獲得に強く影響します。
写真クオリティは、来場者が離れた後の成果に直結するのです。
失敗あるある⑬:撤収を甘く見て“延長料金”が発生する
展示会の撤収は、どの企業も甘く見がちです。 特に、装飾が多い展示会ほど撤収に時間がかかります。
よくあるのが、
- 搬出の人数が足りない
- 什器の解体に予想以上の時間がかかる
- トラックの到着が遅れる
- ゴミの分別に時間がかかる
その結果、撤収時間が押してしまい、 「延長料金が発生」「次の利用者に迷惑をかける」などの問題が起こります。
回避策
- 撤収作業の係を“前日までに明確化”しておく
- 撤収時間の見積もりは“実際の1.5倍”にする
- ゴミ袋・軍手・工具類は多めに用意しておく
- トラックのスケジュールを余裕を持って組む
撤収は「展示会の最後の印象」を決定づける重要な工程です。
スムーズな撤収は、会場にもクライアントにも好印象を与えます。
House of OMOTESANDOが選ばれる理由
ここまで、展示会の“失敗あるある”とその回避策を紹介してきましたが、 実はその多くが「会場選び」で解決できることでもあります。
House of OMOTESANDOは、展示会の成功に必要なポイントを満たす要素が揃っています。
✓ 写真映えする建築美
特別な装飾を加えなくても成立する高級感は、 展示会全体のクオリティを底上げします。
✓ 世界観を壊さない“白と光の空間”
どんなブランドの世界観にも馴染むよう設計された空間は、 引き算のデザインでもブランドの価値を伝えやすくなっています。
✓ 表参道駅から徒歩圏の抜群のアクセス
来場者のストレスをなくし、 ビジネス系・美容系・アパレル系の展示会との親和性も高いエリアです。
✓ スタッフ導線が優れている
搬入・搬出がスムーズに行いやすく、 展示会の負荷を減らす動線が設計されています。
✓ 複数フロアを使ったストーリー設計ができる
世界観の深さを演出するのに最適で、 ブランドの物語性を“階層的に”表現できます。
展示会を失敗させない最大のポイントは、 「準備 × 会場 × 運営」の3つがスムーズに噛み合うこと。
その土台としてHouse of OMOTESANDOは非常に相性の良い会場です。
まとめ:展示会の成功は“失敗をつぶす準備”で決まる
展示会は華やかなイベントのように見えますが、 本質は“どれだけ失敗を事前に排除できるか”です。
この記事で紹介したような失敗は、東京の展示会では本当に多く起こります。 しかし、逆にいえば「知っていれば避けられる」ものばかりです。
そして、会場選びを正しく行えば、その半分以上は自動的に解決できます。
- 世界観を壊さない空間
- 写真映えする建築
- 来場者導線の良さ
- 搬入のしやすさ
- ブランド体験を深める構造
これらの要素を備えた“展示会に強い会場”です。
これから展示会を実施する企業の皆様が、 より高い成果を出せることを願っています。
失敗を避ける準備をした展示会は、 必ず来場者の記憶に残り、ブランド価値を高めます。
【下記にHouse of OMOTESANDOが求められる理由をまとめた記事も作成しております。】
House of OMOTESANDOが展示会場として選ばれる理由|表参道で“世界観の伝わる展示会”を実現
【本記事監修者が運営している東京の展示会場が選べる検索サイト「Speedy」はこちら】
【本記事の執筆者】
⼩⽥ 克⽂(株式会社Plus One 代表取締役・パーティーアドバイザー)

《略歴》
⼭⼝県出身。福岡の中村学園⼤学を卒業
保育士や一部上場会社グループ会社で営業を経験
2007年8月 ブライダル⼤⼿Plan・Do・See8年勤務
2015年8⽉ 株式会社Plus One設⽴
2019年9⽉ 検索サイト「Speedy」ローンチ
2021年4⽉ 東京都パーティーアドバイザー就任
2022年1月 文化庁パーティーアドバイザー就任
2022年4⽉ 観光庁パーティーアドバイザー就任
2023年4月 観光庁観光促進専門家登録
2024年6月 観光庁地域周遊長期滞在促進専門家登録
2024年8月 House of OMOTESANDOオープン